改正派遣法の概要

2015年6月19日に労働者派遣法の改正案が衆院本会議にて可決され、2015年9月1日から施行開始となりました。

この労働者派遣法の改正案については様々なメディアで賛否両論が巻き起こっていますが、この記事では厚生労働省ならびに一般社団法人日本人材派遣協会の情報を元に執筆しています。

改正案では大きく下記4点が変更になります。

1.施行日から3年間の経過措置があるものの、特定労働者派遣事業と一般労働者派遣事業の区別がなくなり、すべての労働者派遣事業が許可制となります。

2.これまで期間制限のなかった専門26分野も今後は期間制限が設けられます

3.派遣労働者の均衡待遇を推進しなければいけません。

4.これまで特に規定のなかったキャリアアップについて、改正案では新たに派遣元企業は計画的な教育訓練をする義務が課せられます。

改正案の条文等を見ながらもう少し掘り下げてみます。

1.ブラック派遣事業者の駆逐。

厚生労働省の資料によると、全事業者が約75,000あり、そのうちの76%が届出のみで派遣を行える特定労働者派遣事業者だと言うことです。(平成26年6月1日現在)
要はほとんどですね。

この中には登録だけさせてろくに教育もしない、派遣先を紹介しない、特定労働者派遣事業と偽り一般労働者派遣事業を行うなどの、いわゆる「ブラック派遣事業者」も蔓延しているわけです。
言われてみればたくさんありますね。

このような労働者にとって不利な状況を打開するために、今回の改正案ではすべての事業者を許可制にしたということです。
でも先ほど書きましたように75,000社のうちの57,000社が対象ですよ。
そんなに簡単に片付く問題ではなさそうです。
しかも経過措置が施行日からわずか※3年です。
※この「わずか」と言う表現については後述します。

「じゃあ申請して認可してもらえばいいじゃないか」と言うことになるわけですが、中小企業には厚く高い壁が立ちはだかります。

下記は改正後に認可を受けるための要件です、一部抜粋してずらっと並べます。
□財産関係
・基準資産額※が事業所数×2,000万円以上であること。
・基準資産額が負債の7分の1以上であること。
・自己名義現金預金額が事業者数×1,500万円以上であること。
※基準資産額とは、資産の総額から繰延資産やのれん、負債の総額等を控除した額です。

 

□事務所関係
・事業の運営に好ましくない位置にないこと。(風俗店など)
・事業に使用できる面積が20㎡以上あること。

□責任者関係
・未成年でなく、派遣元責任者の選任がなされていること。
・成年に達した後、3年以上の雇用管理の経験を有する者であること…など。

ということで現在一般労働者派遣事業の許認可を得ていない事業者の方は、施行日から「わずか」3年の間に上記の規定をすべて満たす必要があります。
ブラック事業者どころか、全うに派遣業務をしてきた事業者でさえ許認可を受けられる可能性が低そうですよね。

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2.この時代、一部はもはや専門分野ではないらしいです。

もともと労働者派遣法には「専門26業務」とそれ以外の業務という分け方をされてきました。
今回の改正では26業務と言う概念がなくなります。

この専門26業務というのはたとえばソフトウェア開発や秘書、受付などが含まれるわけですが、その中の一部は時代の流れとともに「専門業務」ではなくなったものもあります。
また現場側の立場に立ってみると26業務とそれ以外の判別が分かりづらい、との声もあったようで今回26分野と言う概念をなくして全て共通のルールに統一しようとなりました。

したがって専門26業務についてはこれまで期間制限がありませんでしたが、そのほかの業務と統一されたことによりすべての派遣労働者の上限※は原則3年と決まりました。

ちなみにこの上限3年ですが、同じ人が同じ課で働く上限が3年であって、同一事業所であっても課が変わればさらに3年働くことが出来ます。
ただし同じ課で3年を越えて働いてもらう場合は、意見聴取を行わなければ派遣を受け入れることは出来ません。
もちろん(?)違反すると厚生労働省からペナルティを受けます。

ただ今回の改正派遣法で評価すべき点としては、個人単位の期間制限が設けられたことかと思います。

派遣労働者を受け入れる企業の立場に立つと、現行法では最初の派遣労働者を受け入れてから上限3年間という縛りがあったので、後から入ってくる労働者については働く時間が相対的に短いので正当な評価がしづらい環境でした。
ただ改正派遣法では個人単位での期間制限が設けられたことにより、それぞれの労働者を上限の3年間の時間をかけて評価が出来るようになったことは受け入れ企業からすると非常に良い改正だと考えます。

ということで専門26業務は改正派遣法では廃止になり、全ての派遣労働者に原則上限3年間の期間制限が設けられます。

ここまでお読みいただきありがとうございます。
それでは残り3と4については後編にて掘り下げます。
よろしければ後編もお読みください。

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